第222回は「メタバースでオリンピックをしよう」をテーマに、開催中のパリオリンピックの競技を例に、仮想空間で大会を開く場合の可能性を話しました。実際の競技をそのまま移すには、全身の動きを捉えるフルトラッキングや、球技での遅延の少ない通信などが必要です。水泳や陸上では水の流れや空気抵抗、選手同士の駆け引きも競技に関わるため、現実の環境をどこまで再現するかが課題として挙がりました。
競技ごとの実現性も検討しました。射撃のように的を狙う競技や、体操・飛び込みなど動きを採点する競技は、仕組みを整えればメタバースでも行える可能性があります。一方で、卓球などの球技では球の速度や細かな操作、柔道やレスリングでは相手に触れた感覚や力の伝わり方が課題になります。競技によっては、選手の動きを仮想空間に再現するより、映像で観戦する形のほうが適しているのではないかという話もありました。
メタバース独自の競技として、現実には作れない障害物を使ったアスレチックなども案に挙がりました。また、身体を動かしにくい人や、現地に集まることが難しい人も参加できる大会をつくる可能性について話しました。競技を実現するための機器やソフトウェアを開発すること自体を競う案も示され、フルトラッキング用の装備や通信環境など、競技を支える技術の発展と受け皿づくりが大切だと語られました。現実のオリンピックを置き換えるのではなく、メタバースだからこそできる形を探る内容となりました。