今回は、メタバースを活用した大規模実験基盤「LUIDA」について紹介しました。clusterなどが開発したこの基盤は、これまで分断されがちだった実験システムの開発、参加者募集、実験の実施、データ収集を一つにつなげて効率化するものです。構成要素は、実験を探して参加登録する「募集ワールド」、実際に実験を行う「実験ワールド」、Unityで実験システムを作るためのテンプレート、参加者登録やアンケートを扱うWebコンソール、データを保存するストレージの5つです。
主な機能として、募集ワールドから実験への参加を選ぶと実験用のルームが生成される仕組み、ワールド内で回答できるアンケート、コントローラーの位置や姿勢をフレームごとに記録する行動トラッキング、実験の進行を管理するステートマシンが紹介されました。これにより、研究者が参加者募集や実験運営にかける負担を減らし、VR上の行動データを継続的に収集できるようになります。
研究者6人による評価では、参加者募集の自動化や実験の並行実施などが効率面で評価された一方、テンプレートのUIには改善の余地があるとされました。一般ユーザーを対象にした実験では、手の動きのずれを測る実験やアバターの外見が行動に与える影響を調べる実験、3D空間での操作時間を扱う実験が行われました。従来の実験と同様の傾向が確認された例がある一方、トラッキング箇所の違いが比較の制約になる例も共有されました。
今後は評価を踏まえてテンプレートや参加者向けの説明を改善する見通しです。また、利用するプラットフォームへの依存、通信遅延、参加者ごとの環境差、途中退出への対応なども課題として挙げられました。VR経験の豊富な参加者に偏る可能性についても話し、基盤が整うことで、メタバースに関心を持つ人が実験を通じて仮説を検証する機会が広がることへの期待を語りました。