デジタル世界でのアイデンティティをテーマに、現実に基づく国籍などの属性が今後どうなるのか、新しいデジタル上のアイデンティティが生まれるのかを話しました。学生コミュニティでは、年齢に応じたロールがある一方、国籍や性別を強く意識しないこともあります。現実とネットで自分を分ける人もいれば、基本的な自分は変えずに、本名や顔など開示する情報の範囲を調整する人もいるなど、参加者それぞれのあり方が紹介されました。
コミュニティごとに振る舞いを変えることについては、他者の表現を参考にして自分の見せ方を工夫する場合や、その場で過ごすうちに居心地のよいスタイルができていく場合があると話しました。また、場に合わない話題を避けるために自分の一面を出さないことと、詳しさに自信がなく発言を控えることは、異なる理由によるものだと整理しました。参加や退出がしやすい場かどうかも、どこまで自分を見せるかに関わるという意見が出ました。ネットでは、現実よりも対人関係上の遠慮が少なく、先に自分のことを話すことで、周囲も好きな話題を出しやすくなることがあるとも語られました。
デジタル空間では、アバターや声を選ぶことで、現実とは異なる見た目や振る舞いを表現できる可能性があります。見た目への意識が薄れ、現実ではためらう服装や冗談を選びやすくなる一方、スポーツ選手のように身体的な特徴を生かす人にとっては、その魅力をデジタル上で発揮しにくい場合もあると指摘されました。アバターに寄せられる期待が振る舞いに影響する可能性にも触れ、デジタルと現実のどちらかが一律に優れているのではなく、場面に応じて自分に合った表現を選べることが重要だと話しました。現実と正反対の人格を作るというより、現実では出しにくい個性をオンラインで濃く表現することも、デジタルならではの選択肢として挙げられました。