ビットコインの量子コンピューター対策をテーマに、関連する記事をもとに、量子技術の進歩がブロックチェーンのセキュリティに与える影響を話しました。量子コンピューターが既存の暗号を破る時期の予測は、5年以内から20年ほどまで幅があります。Microsoftの量子コンピューター向けチップの発表なども話題にしつつ、実際にいつ、どの程度の計算能力が実現するかは不確かだと確認しました。現在のブロックチェーンは、通常のコンピューターでは現実的に難しい計算を安全性の根拠としています。そのため、量子コンピューターを使った攻撃が可能になる前に対策する必要があるという問題意識が紹介されました。
対策の候補として、通常のコンピューターで実行でき、量子コンピューターからの攻撃にも耐えることを目指す「ポスト量子暗号(PQC)」を解説しました。格子ベース暗号は、規則的な点の並びを複雑にしたとき、元の状態を見つける難しさを利用する方式として説明されました。また、ハッシュベース暗号はデジタル署名に利用できる一方、署名データが大きくなりやすいこと、符号ベース暗号もデータサイズが大きいことなど、方式ごとの特徴や制約が話題になりました。米国立標準技術研究所(NIST)による選定や標準化の経緯にも触れ、複数の方式が検討されていることを紹介しました。
PQCをブロックチェーンに導入する方法として、既存の仕組みを残しながら新しい取引から切り替えるソフトフォークと、一定期間の後に古いルールを無効化するハードフォークの違いを整理しました。後者では、移行されなかった資産が使えなくなる可能性があります。また、暗号方式の変更には開発上の失敗リスクがあるほか、データサイズの増加によるガス代や電力消費への影響も考慮が必要です。攻撃が現実化する前に備えつつ、量子コンピューターの性能や脅威の見極め、移行の時期と方法を慎重に判断する難しさについて意見を交わしました。