今回は「AIと声の権利」をテーマに、声優の声に似たAI音声を使ったTikTok動画をめぐる訴訟を取り上げました。動画の削除が求められた一方、裁判の時点ですでに投稿が削除されていたため、請求は退けられました。ただし、裁判所はAI音声によるパブリシティ権侵害が成立するかを判断したわけではありません。人の声が個人の人格を象徴し、顧客を引きつける力を持つ場合には、パブリシティ権の保護対象になり得るという考え方が示された点を確認しました。
生成音声が特定の本人の声といえるかは、音声の類似性だけでなく、タイトルや説明文など、本人を想起させる情報も含めて判断されるという考え方を紹介しました。投稿者が権利侵害を問われる可能性に加え、侵害の申告を受けたプラットフォームの対応にも影響し得るとして、声の利用をめぐる論点を整理しました。
また、前回扱ったNTT西日本の音声サービス「ボイセンス」を振り返り、本人の同意を得て音声をライセンス化し、利用に応じて権利者へ対価を還元する仕組みや、ブロックチェーンによるライセンス管理についても触れました。AI音声の技術が進むなか、声優の仕事や表現の幅がどう変わるのか、AIに抵抗するのではなく、人間とAIにできることを見極めて共存する考え方についても話しました。今後は、声の権利をめぐる法整備と、持続可能なビジネスモデルの構築が重要になるとまとめました。