写真や動画を見て過去を懐かしむことと、過去の空間に入り込んで追体験することは同じなのか。360度映像をVRゴーグルで見る体験にも触れながら、部屋の様子や人の動き、音などを3D空間として記録し、後から視点を変えて再生できれば、記録された時代を歩き回れるのではないかと話しました。ただし、それは過去に戻って現実に干渉するタイムスリップとは異なり、記録をもとに追体験するものだと整理しました。
メタバースの世界を広範囲に記録する場合、会話やスマートフォンの画面、個人の動きまで残すことによるプライバシーや肖像権の問題、膨大なデータの保存が課題になります。ブロックチェーンに記録される取引と、空間内の移動や会話などの記録は別のものとして話題にし、必要な範囲だけを記録する方法や、個人の防衛のために周囲を残すドライブレコーダーのような仕組みにも触れました。
記録をもとにAIが人々の判断まで再現できれば、過去の状況を変えた場合の展開もシミュレーションできるのではないか、という想像も広がりました。一方で、記録のない時代は分かっている情報の範囲でしか再現できず、当時の実際の出来事や作業の様子を確かめられるわけではありません。将来、メタバースの初期の姿を記録しておけば、当時の人々の考えや課題を後世が研究できる可能性がある一方、世界をすべて記録することの実現性や扱い方は慎重に考える必要があると話しました。