第61回では「メタバースと現実世界」をテーマに、両者をどう捉え、どのように関わり合うのかを話しました。まず、現実の街や部屋を仮想空間に再現するデジタルツインを取り上げ、災害シミュレーションや建物の日当たり、人の流れの検討、家具の配置といった活用例を紹介しました。メタバースの技術が現実世界を便利にする可能性がある一方、仮想空間と現実世界は必ずしも対立するものではないという見方も共有しました。
続いて、メタバースの定義や、ゲーム・SNSとの違いについて議論しました。「自分にとって都合のよい快適な世界」という定義も紹介されましたが、参加者同士が交流する空間では、思い通りにならない人間関係も生まれます。人との関わりが濃くなることで疲れる場合があり、公共の場と少人数の場を使い分けることも話題になりました。学校のように、継続して顔を合わせることでつながりが育つコミュニティの仕組みや、用途に応じてプラットフォームやアバターを選ぶ可能性についても意見が交わされました。
さらに、翻訳技術の進歩によって言語や国境を越えた交流が広がる可能性、VRChatやclusterなどのソーシャルVR、Vket Cloudの機能にも触れました。現実世界とメタバースのどちらを選ぶかは、技術や費用、体験したいこと、居心地のよいコミュニティなどによって異なります。両者を分けて考えるべきか、連続したものとして捉えるべきかという哲学的な議論も含め、後編ではどのような人にどちらが合うのかを考える予定です。